メソッド

2025.01.04
新規事業
大企業の無形サービスBtoB新規事業責任者の最高の地獄を解説

この記事を読んでいただきたいのは、大企業の無形サービスのBtoB新規事業部門責任者の方です。
ソフトウェア・プラットフォーム、Webサービス、人材、教育、広告、コンサルティング、データベースサービス、BPOサービス、受託サービスなどの新規事業が該当します。

コーレでは、大企業の新規事業部門責任者に伴走して、まるでゴーストライターのように事業企画〜事業計画〜事業開発〜事業推進を一気通貫支援する「ゴースト新規事業開発」という新規事業開発のPMOとBPOを同時にサポートするサービスがあります。
ゴースト新規事業開発による大企業の新規事業部門責任者とのコミュニケーションを通じて、「新規事業はこんな壁に突き当たりますよね」ということを書き記しました。
新規事業の戦略や企画から、実際に責任を持ってコンサルタント、デザイナー、エンジニア、マーケターが実働する末端のところまでを伴走するゴースト新規事業開発をご検討ください。

ゴースト新規事業開発:ゴースト新規事業開発(新規事業PMO&BPO)
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大企業で新規事業を始めるとき、いきなり選択を迫られる

ある日、突然上司や役員から「新規事業を立ち上げたいんだけど、担当してみませんか?」と言われる。
あるいは自分が「そろそろ新しいことをやりたいんですが…」と手を挙げる。
大企業では、そんなシーンがふと訪れます。私はこれを「最高の地獄の入口」だと思っています。
入るか、入らないか。決めた瞬間から、とんでもない毎日が待ち受けている。
多くの人からはこう言われます。「いやあ、大企業の新規事業って安定してて良さそうじゃない?既存のリソース使えるし、お金も潤沢だし、失敗しても会社がなんとかしてくれそうだし…」なんて。
でも実際はそんな甘いものではありません。

  • 既存事業のエース級メンバーからは白い目で見られる
  • 社内の稟議とステークホルダーとの調整が50%どころか70%くらいを占めることも
  • 「誰もやったことない」ことをやるため、スキルセットがまるで足りない
  • 最初に決めた計画は99%崩れる

それでも多くの人が新規事業開発に魅力を感じ、取り組むのはなぜか?
そこには“最高の達成感”と“ある種の地獄”が待っているからです。
大企業だからこそ生じる「潤沢な資源」と「ものすごい重圧」の二面性。
そんなリアルなことを書いていきます。

まず最初に、新規事業の目的は大きく二つに分かれます。

  1. 既存事業の柱を派生強化する
  2. 第二の事業柱を増設する

実はこのどちらを目指すかによって、やるべきこと、困難になるポイントは大きく異なります。
そして結果的には、どちらであっても新規事業開発の“最高の地獄”が待っているのに違いはありません。
腹を括っていきましょう。

最高と地獄の入り口:新規事業の二つの目的を決める

既存事業を強化したい側の“最高”と“地獄”

大企業が新規事業をやる理由として最も多いのが、「既存の主力事業に関連した派生サービスを作りたい」というパターンです。
例えば、既存プロダクトに付随するカスタマーサポート拡充だったり、新しいアップセル商品だったり。
“比較的やりやすい”と思われがちな反面、実は地獄の一面も隠れています。

  • 最高な点
    • 既存事業の顧客基盤やブランドがあるので、マーケットへの浸透は早い
    • 社内でも「既存事業の一部だよね」と認識が得られやすい
    • 開発するリソースも借りやすく、シナジーを作れば収益化が早い
  • 地獄な点
    • 既存事業部門がガッチリ管理しており、“新しいこと”が通りにくい
    • システムやプロセスが既存ビジネスに最適化されているため、融通が効かない
    • 「なぜそこにコストをかけるの?」と社内から反対されることもしばしば

結局、既存柱の派生強化といっても、新規要素が絡む以上は摩擦が避けられません。
下手すると新規事業部と既存事業部が対立しかねません。

第二の事業柱を増設したい側の“最高”と“地獄”

もう一つの理由が、「第二の柱を作らないと会社がヤバいんじゃないか」という危機感から発生するパターンです。
これは文字通り、これまでやってこなかった“まったく新しいドメイン”に挑むので、社内での抵抗も大きいですが、成功したら大きなリターンが待っています。

  • 最高な点
    • 「よそで見たことがないビジネス」を作るという高揚感
    • 会社全体を変えるインパクトを生むかもしれない夢がある
    • 経営者も「第二の柱を作りたい」と本気なら、投資規模も大きくなる
  • 地獄な点
    • 既存事業とのシナジーが少なく、内部で理解されにくい
    • 市場も未知数なため、事業計画が全然当てにならない
    • 半年や1年で結果が出ないと、早々に予算カットされる恐怖

要するに、どっちに転んでも大変です。
“最高のワクワク感”と“地獄の苦しみ”が常にセットになっています。
この時点で「もうやめておこう」と思うか、「それでもやりたい!」と燃えるか。
そこに新規事業責任者の資質が現れてくるのかもしれません。

「どっちでも地獄じゃないか!」という話

結論を言えば、どちらの目的を選んでも地獄を見るのは同じです。
だからこそ、自分が「どちらの地獄なら乗りこなせるか?」を選ぶことがポイントです。
既存事業を補強する立場なら、「既存顧客をさらに満足させたい!」というモチベーションが大事です。
第二の柱を狙うなら、「未知の領域を切り拓きたい!」という冒険心が必要になります。

この“目的を明確にする”思考ステップを中途半端にすると、後々「結局どこを目指してるかわからない」と迷走し、周囲も巻き込んだ大混乱に陥ることになります。
ここが最初の“小さなようでめちゃくちゃ大きい分岐点”なのです。

事業企画:社内プレゼンのはるか先を目指す—それでも時間はない

はるか先を妄想しないと本質を見誤る

新規事業の企画段階で、大企業では往々にして「○○へのプレゼン資料が◯月◯日締め切り」と急かされます。そして結構多くの人が、“とりあえずプレゼンを乗り切るため”の資料づくりに没頭することになります。

でもそれだけだと、実際の顧客や市場の変化に対応しづらいものになってしまうこともあります。
大企業だからこそ、企画の段階で「社内の承認をもらうための資料」になりがちなのです。
もっと先の未来、現実的にどうなるのか、そしてどのような未来がありうるのか、を見据えておかないと、スタート地点からズレてしまう可能性大です。

とはいえ、まずは手短にプランを出さないと怒られる

そうはいっても、現実には経営層から「なんでまだ企画書出さないの?」と詰められるわけです。
ここでのコツは、“ラフでもいいから方向性をサッと示す”→“裏でしっかり深堀りする”という2段構えをやることです。
ある程度叩かれる前提で進めます。

  1. “仮説段階の企画書”を作って提出して上から叩かれる。ここで一旦資料提出納期をクリアする
  2. フィードバックを踏まえ、本当に顧客や市場を深く調べる
  3. しかるべきタイミングで再度詳細版を提出する

この流れを踏むと、経営者やステークホルダーが「あ、ちゃんと考えてるな」と思ってくれるし、企画側も過度に時間を浪費せずにすむのです。
いきなり完璧な企画書なんて無理ですからね。
まずは叩かれる前提でも資料を提出し、資料提出の納期をクリアして、その間の時間でしっかりと調査や準備をするのです。

“役員”と早期に対話せよ

大企業には、いわゆる“役員”や“社長”が控えています。
特に新規事業に興味津々な経営者ほど、初期段階で口を出してくるし、後から意見をコロコロ変えることもしばしばあります。

だからこそ早めにその人たちと意見交換するほうがよいです。
「最初から方針をすり合わせておいたほうが早い」ということです。
もちろん、あまりにも荒削りすぎると門前払いされる可能性もあるので、最低限の筋は通した企画案を持っていくのがベターです。

アイデアが出たら、AIから反論をうけよう

事業のアイデアが企画書としてまとまったら、このAIに反論してもらいましょう。
ChatGPTのGPTsとして「事業アイデア反論bot」があります。
このAIに企画を伝えると、無慈悲な反論や指摘、ツッコミが来ます。
ここでなされる反論は、実際に事業企画を提案した際にも受ける可能性があります。
本番で役員からツッコミが入った際に、すでにAIとのやりとりで想定しておけると非常に受け答えがスムーズになります。
ぜひ活用ください。

新規事業企画反論AI

https://chatgpt.com/g/g-6777d9185b008191b6fb69d37a63080c-xin-gui-shi-ye-qi-hua-fan-lun-ai

事業計画:数字をこねくり回す=未来の解像度を高める

正しい数字なんて存在しない、でもこねくり回す意味はある

「新規事業の事業計画は必須ですよ。5年後の売上目標とかROIとか出してください」
こう言われると、頭を抱える人が多いでしょう。
大企業ほど、“計画的に数字を積み上げる”という文化が根強いものです。

しかし、新規事業の段階で出す数字が“正しく”当たるなんて、ほぼありません。
そこを100%正確に作ろうとしても時間が無限に溶けていってしまいます。
一方で「いや、じゃあ適当に書いておけばいいよね」と開き直るのも問題です。
なぜなら、“数字を作るプロセス”は事業未来の解像度を上げるうえで必要だからです。

  • どのようなプロセスで顧客化するのか?
  • どれくらいの顧客数が見込めるか?
  • 1顧客あたりに必要な工数は何か?
  • 事業運営にはどのようなチームが必要か?
  • チームには何人の人員が必要か?
  • どのくらいの投資額なら、どのタイミングで回収が見込めるか?

などなど、数字をこねくりまわして思考することで、事業のシナリオを整理できるわけです。

大企業の経営計画に“合わせる”地獄感

大企業では、中期経営計画や年度ごとの数値目標がガチガチに決まっていることがあります。
そこに新規事業を“組み込む”とき、「○○事業が来年度には◯億円の売上を作る」みたいな目標を提示する羽目になります。
すると、経営者はそれをベースに人事や予算を組んでしまいます。

問題は、新規事業がそんなにうまくいくかどうかわからないという点。
でも「計画に書いたじゃん!今さら何を言ってるの?」と詰められます。
さらに「じゃあ、ここで数字を下方修正していいの?」となると、社内政治的にややこしい。
こうして、新規事業責任者は社内外の“数字に対する期待感”と格闘することになるのです。

「どこまで盛るの?」に悩む夜

最初の事業計画を作るとき、“多少盛らないと通らない”という空気がある一方で、“盛りすぎると後で地獄を見る”という板挟みに陥ります。
すると夜な夜なエクセルとにらめっこしながら「この数字ならワンチャンありそう…いや、でもこれでも厳しいかな?」と迷走する。
多くの新規事業担当者が同じルートをたどるはずです。

ここでのアドバイスとしては、盛るかどうかより、“なぜ盛るのか”を自分自身で納得できるかが重要です。
基本的に数字の期待値を調整する場合は、パーセントの部分をいじることになるでしょう。
顧客を1社獲得する際のプロセスで、商談化率が20%だったところを、「うーん、30%にしてみるか」というようにして帳尻をあわせたりしてしまいます。
根拠のない盛りをしてしまうと、後で火の車になるのは自分ですから気をつけましょう。
パーセンテージではなく、数量をいじるほうが、めちゃめちゃ頑張れば実現できることがありますが、パーセンテージだと厳しいことが多いです。
例えば、営業の商談化率を30%で計画しているところが現実で20%だった場合に、30%にするのはかなり難易度が高いです。
ただ、1日の商談数を10件で計画していたところが現実に7件だった場合は、1商談当たりの時間を短くする工夫によって現実に10件できるようになったりします。
計画数字で盛る場合は、できればパーセンテージではなく数量などの部分を盛る方が、あとあとになった調整できる確度が高いです。

事業開発:プレスリリースを先に作るというアクション

誰の、どんな課題を、どう解決するのか?を明確化

「新規事業開発では先にプレスリリースを作ったほうがいい」と聞くと、多くの人が「は?」と言います。
普通はサービスが完成してからプレスリリースを出すのでは?と。
でも、“プレスリリースを先に書く”には非常に大きな利点があります。
それは、事業の狙いをシンプルに整理しやすいという点です。

  • どんなターゲット(誰の課題)を想定しているか
  • その課題を、どうやってどんな価値で解決するか
  • 社会にどうインパクトを与えるか

これを一枚の文章にまとめると、社内外の人が「あ、この新規事業はこういうことなのね」と瞬時に理解しやすくなります。
逆に言えば、プレスリリースに書けないほどゴチャゴチャした企画なら、まだ練り込みが足りないということです。

プレスリリースで“社会の何を変えるのか”を言語化

プレスリリースは、その事業が“具体的に社会のどんな部分をどう変えたいのか?”を端的に示す場所でもあります。
大企業の新規事業は、社内のステークホルダーが多い分、対外的な訴求ポイントも定まらないままゴーサインが出ることも起こりがちです。

しかし、少なくとも“どんな理想やビジョンを持っているのか?”を一度は言語化しておかないと、経営者も現場も方向性を見失うのが常です。
「最初は仮説でもいいから、プレスリリース案を作る」というのは、目標設定として効きます。

新規事業責任者が書く

プレスリリースを作るといっても、大企業には広報やPR部署があり、そこの承認も要るかもしれません。
が、本質的な“何をやるか、どんな価値を出すか”は責任者自身が決めなければ動けないのです。
新規事業責任者は、事業について聞かれることがたくさんあり、話すこともたくさんあります。
そのときに、プレスリリースを書いた経験をしておくと、スラスラと言葉が出てきます。
プレスリリースという具体的なアウトプットの作業をすることで、自然と事業についての言語化の解像度が上がるので、まずはプレスリリースを書いてみましょう。

事業推進:担当者の50%は社内コミュニケーションに費やされる運命

稟議・ステークホルダー説明・社内決裁は避けられない

新規事業責任者になった人が最初にぶち当たる壁は、「なんで社内手続きにこんな時間かかるの?」という衝撃です。
例えば、「稟議書を作成して回覧→部長承認→役員承認→さらに上の全社会議…」なんてフローが待っています。
これが一度で終わればいいけれど、ちょっと仕様変更や追加予算をとりたいだけで再申請が必要になったりもします。
「こんなのやってるヒマあったら、もっとサービス開発したい!」と思うのは当然です。でも、この社内調整こそが大企業の宿命なのです。

大企業の社内行事は“報告地獄”でもある

さらに、大企業には定例会議や社内イベントがやたら多いことも珍しくありません。
例えば、四半期ごとの全社発表会とか、部署横断プロジェクトのレビュー会とかです。
新規事業は目立つからこそ、そういう場で必ず進捗報告を求められます。

  • 「資料を15ページにまとめといて」
  • 「10分でわかりやすく事業概要を説明して」

そうこうしているうちに、新規事業責任者の業務時間の時間の半分以上が“社内向けの報告資料作成”に奪われる可能性だってあります。
辛い。
でもここをサボると社内の理解も得られず、いざというときに誰も助けてくれない。
泣く泣くでもやるしかなわけです。

「実は内向きな仕事ばっかりで…」という悲鳴

新規事業開発と言えば、「外部の顧客やパートナーと連携しながら、新しい価値を創造していくイメージ」を持つことも多いと思います。
でも実情は、社内の書類や根回し、報告会といった内向きの仕が膨れ上がり、外部折衝に割ける時間が思ったより少なくなるケースが多いです。

ここで挫折する人もいます。
「なんか想像と違う…自分はもっとクリエイティブなことがしたかった…」というように。
でも、大企業の新規事業には必ず発生する“組織内コミュニケーション”の重さを、あらかじめ覚悟しておくかどうかでモチベーションが変わります。
ひとまず、そういう事象があるのだと受け止めましょう。

組織管理:チームメンバーの選定基準は“熱量×スキル×経験×体力×精神力”

誰一人知らないことは、誰もできない—だから育成も同時進行

新規事業は、未知の領域に挑むからこそ新規事業です。
つまり、既存の大企業メンバーも「その分野はあまり知らない…」という場合が多いです。
結局、“誰も知らないことは誰もやれない”という当たり前の壁にぶつかるわけです。

だから責任者は、チームを育成しながら進める必要があります。
「スキルがないから無理」と諦めるか、「スキルがないなら身につけよう」と突き進むかは大きな違いです。
そして新規事業ほど、“見様見真似でやってみるうちに身についた”みたいなケースが多いのも事実です。

半年で主要メンバーが抜けるかもしれないリスク

大企業では、人事異動が定期的に行われます。
新規事業で引き抜いた有能メンバーが、いきなり別部署に異動なんてことも日常茶飯事です。
また、ハードワークが続けば体調を崩す人も出てくるでしょう。
新規事業ではうまくいくのかいかないのかの中で、成果が出るまでかなりの準備期間と我慢期間が発生します。
それでもハードに長時間労働をして、手探りで未知なことに挑み続けて、時にはある程度うまくいきそうなことを方針転換して、もみくちゃになりながら働くことになります。
そういったことに耐えられる精神力がないと、すぐに病んでしまいます。

チームのメンバーで「これは得意分野です。これは苦手なのでやりたくないです」という人がいると、その人がボトルネックになります。
思い切ってチームから離れてもらうか、苦手なこともやる意義を理解してもらいましょう。
ただし、チームメンバーの育成に時間をかけている余裕はありません。パッと言って、パッと納得されない場合は、これもまたチームから離れてもらうことが重要です。

実際、「いや、このメンバー抜けたらもう開発進まないんだけど?」という状況はザラに起こります。
あるいは事業責任者自身が異動を言い渡されるケースも…。
だからこそ、チーム内での情報共有や属人化を防ぐ仕組みを用意しておかないと、主要メンバー不在になった途端に停滞する地獄が待っています。
そいういったことも事業計画に盛り込むようにしましょう。

“魂を燃やし続ける責任者”とサブキーマン2名が生命線

新規事業は、責任者ともう1名のキーマンがいれば、ある程度機能するものです。
実際、「責任者が全部の意思決定をして、もう1人のキーマンがその意志を汲んで補佐に回る」という形は、どんなに組織が大きくても機能しやすい。
逆に、責任者が燃え尽きてしまったり、キーマンが抜けたりすると一気に瓦解します。
チームメンバーはたくさんいても、誰が指揮を取るのか曖昧になってプロジェクトが空中分解…これは本当によくある悲劇なんです。

事業開発と事業推進は同時進行:先に社外で売り始める

展示会で先行営業をする

大企業ほど、新規事業の開発を完璧に整えてから正式リリースをしよう、という発想が強いものです。
しかし、先に社外に売り始めると、それだけ早く顧客の声を拾えます。
特に展示会への出展は、昔から「最強の先行テスト」と言われがちです。

  • 「こんなサービス考えてるんですが、興味ありますか?」
  • 「価格帯はこれくらいを想定してるんですけど、どうですかね?」

これを1日で何十社にも聞き込みできるのが展示会の魅力です。
仮にブースに立てるほどの完成度じゃなくても、パンフレットや簡易モックを持って行ってリアクションを見るだけで大きな収穫があります。
小さい会場でもよいので、最低限の予算で出展しましょう。
展示会というと、張り切って格好よいブースを作りたくなるものですが、中途半端にやってもあまり意味がありません。
格好よいブースにするのは事業が儲かってからにしましょう。

オンラインでは聞けない“裏話”がリアル展示会に集まる

オンラインMTGだとNDAが必要な話はなかなか出てきません。「ここだけの話ですが…」が言いづらい環境ですよね。
その点、展示会などのリアル場では、相手も気分が盛り上がっていることが多く、“業界や社内のオフレコ情報”をポロッと話してくれるケースがたくさんあります。
ときには「実はライバル企業さんもこういう動きしてるっぽくて…」なんて、めちゃくちゃ貴重な裏話を聞けたりもします。
その情報が開発方向を決定づけることもあります。

実際に売ってみた手応えを開発にフィードバック

展示会や先行営業で「これ、案外ウケが良かった」「ここは全然興味を持ってもらえなかった」という実感を掴めたら、すぐに開発チームに共有して、方向性を調整しましょう。
大企業は大掛かりなプロセスを踏むため、仕様変更が出るたびに再稟議が必要かもしれません。
でも、その手間を惜しんでしまうと、せっかくのフィードバックを活かせません。

ここで大事なのは「開発と推進を切り離さない」ことです。
初期段階ほど、ユーザーのリアクションを元に軌道修正するのが成功率を上げるコツです。
大企業の“レールを決めたら固定”という文化に飲まれないように、粘り強く調整していきましょう。

専門スキルのある外注を使う:自分ごと化してくれるかがカギ

大企業ほど外注活用が重要になる理由

新規事業は、前述のとおり社内にそのスキルがないことがしょっちゅうです。
だからといって社員をスキルアップさせるにも時間がかかります。
そこで頼りになるのが外部の専門家や開発会社です。
大企業だと、外注費がある程度つきやすいので、「とりあえず外注に任せよう」という発想がある意味ラクです。
しかも大企業のネームバリューがあれば、「ぜひ協力したい!」と言ってくれる会社も少なくないです。
ここが最高な点ですね。
外注先がノってくれやすいのはかなり大きなアドバンテージです。

深夜稼働や土日稼働ができるか

大企業内では、労務管理や就業規則が厳しく、深夜残業や土日出勤を簡単にやりにくいものです。
しかし、新規事業開発ではスピードが重要です。
新しく何かを生み出すことは、計画していない予期せぬことが発生します。
それでも計画通りに進まないと、社内外のいろいろなところから突っ込まれてしまいます。
なので、ある程度のトラブルが発生しても良いように、計画の1.5倍で事業開発が進むように動くことがおすすめです。

そこで、計画上では倫理的になかなか入れることができない深夜稼働や土日稼働ができる外注がおすすめです。
正直に言えば、新規事業の追い込み時期には土日も深夜も関係なく社員で稼働が必要になることも多いです。
でも労基などの制約や、シンプルに社内メンバーがそこまで働けない場合もあります。
そいういった場合に、外注をうまく使うことで、スピード感を出していくことができます。なかなかブラックに聞こえるかもしれませんが、新規事業開発のような「外部から見るとキラキラしてそう」な仕事は、往々にして泥臭く血の滲む稼働によって成り立つものです。
(コーレではこれくらいブラックな方が燃えます)

お金を払い続ければ、いきなりの離脱はない

外注は「基本的に見合ったお金を払えば離脱されない」というものです。
もちろん、あまりにも無茶な要求は現実的にできないですが、大抵の場合はある程度の無茶は見合ったお金を支払えば解決します。
どのような契約にするかどうかですが、予算の潤沢さで戦える大企業の場合は、チームメンバーの離脱などで事業が進まないよりも、多少の金銭的なコストを多く払ってでもリスクをなくす方が長期的によいものです。

ただし、外注先とは“自分ごと化”してくれるパートナーシップを築けるかが大切です。
すごく価値のあるプロジェクトだということと、金銭的な恩恵を与えて、事業がうまくいく限り外注先も潤うよということを伝えて、うまくコントロールすることが重要です。

ただし、外注でもフリーランスや一人社長の個人事業主を活用する場合は、法律的な問題でNGになりやすいことも多いので、できれば企業に外注する方がリスクは減ります。
外注は契約書が非常に重要なので、契約書はしっかり作りましょう。

UX設計は“新規事業責任者”がやる—超上流と超下流

叩き台を自分で作らないと誰も動かない

新規事業におけるUX設計と聞くと、「専門家やデザイナーがいるよね?」と思うかもしれませんが、実は一番上流の“どんな体験を創るか”という根幹は責任者が握らないと進まない場合が多いです。
なぜなら、サービス全体の動きやユーザーストーリーを最も理解しているのは責任者だからです。
これを放棄してしまうと、サービスを形にするデザイナーやエンジニアも「どういうビジョンで開発すればいいの?」と困り、結果としてコンセプトがブレブレのプロダクトが出来上がってしまいます。

“この事業はこう動く”という実装レベルのマインド

UXデザインには、「ユーザーがサービスに触れた瞬間から、課題解決に至るまで、どんな体験を重ねるか」を細かく想定する設計が含まれます。
大企業だと、既存のシステムや組織プロセスとの統合も必要だから、かなり実装レベルで考えないと後で痛い目を見ることになってしまいます。
だからこそ「超上流の構想→実装案→実際の開発→運用オペレーション」まで、責任者自身が一貫して考えることが理想なのです。

“平穏な毎日”を捨てる代わりに得られる最高の実感

大企業のブランドと資源を使える“最高”

大企業の新規事業が強いのは、既存のブランド力や顧客基盤、そして資金や人材というリソースを活用できる点です。スタートアップなら資金集めに奔走して「まず生き延びなければ」となるところ、大企業の看板があれば信用を得やすいし、ある程度の投資を得られる可能性も高い。
ここを最大限活用せずして何と言うか。
苦しみは多いが、やはりこの利点は大きいです。

社内外のプレッシャーがヤバい“地獄”

しかし同時に、「こんなに恵まれた環境で結果が出せないなんて、おかしいじゃないか」と社内外から言われることにもなります。
特に既存事業で業績を上げているベテランからすれば、「あいつらに投じたお金はいつになったら回収できるの?」となるわけです。
そのプレッシャーは相当な地獄。
普通に業務をしていても、「このプロジェクト、ホントに大丈夫?」と声をかけられたり、逆にシーンと冷たい空気になったり…。
これは新規事業あるあるですね。

新規事業責任者は転んでも市場価値が上がる

もし新規事業が成功したら、会社からの評価も高まり、社内外での市場価値も一気に上がる可能性があります。
もしダメだったとしても、貴重な学びが得られるので「新規事業の失敗経験がある人」として転職市場や他社スタートアップから引き合いがあるかもしれません。
いずれにせよ、退屈な毎日よりははるかにエキサイティングという捉え方ができるのが新記事業開発の醍醐味です。
ただし、その過程は地獄のようにハードなのは間違いないものです。

いきなり方針を変えられる苦痛

コロコロ変わる経営者の方針転換は日常茶飯事

経営者は、朝はAと言っていたのに、夕方にはBを優先と言い出すなんてことが普通にあります。
新規事業担当者からすると、「えっ、先週の役員会ではこう決定したじゃないですか…」と困惑するでしょう。
でも、経営者ほど多くの情報に日々触れており、考えが急転するのは珍しくない。
ここを理解しておかないと、「社長(または役員)の言動がブレすぎてついていけない」という地獄に陥ります。

方針転換にはロジカルに対処し、パワーで乗り切る

もちろん、「はいはい」とすべて言われた通りにやっていたら、イエスマン扱いされるリスクもあります。
経営者は実は「そんなに簡単にYESって言うなよ…」と内心思ってるかもしれません。
だからこそ、新規事業責任者には「それよりもこうしましょう」とか「今さら方向転換すると規約的にトラブルになります」と正面から伝える勇気が必要なときがあります。
新しい取り組みをするというのに、混乱が起きないわけがありません。
方針転換に対応する際には、方針転換に従うべきか、それとも他の道がよいべきか、ロジカルに考えて意見をぶつけましょう。

また、方針転換の指令があると、「現場が混乱してしまいます」と言いたくなることもあるかもしれません。
しかし、新規事業は常に混乱が起き続けるものです。
いざ、方針転換するとしたら、現場メンバーが対応してくれるように根気強く説明するか、ときには勢いで乗り切るパワーも大事です。

変化に振り回されるか、柔軟に乗っていくか

経営の新しい情報で方向転換が起きるのは、ある意味「新しいチャンスが来た」とも捉えられます。
その変化に振り回されて萎縮するか、柔軟に取り入れて自分の事業に活かすかは事業責任者次第です。
「結局、方針がコロコロ変わるなんて地獄じゃないか」と嘆くより、「ならこの新しいアイデアを活用して、もっと良い方向へ行けないか?」と発想できるかどうか。
地獄を楽しむスキルが試される瞬間です。

地獄は好きでやっている?—“新規事業責任者”の真意

「平穏にやっていけるなら、それはそれで幸せだけど…」

時々、新規事業責任者として頑張っている人に「なんでそんな大変なことやってるの?」と聞くと、「まあ、普通に毎日同じことする仕事でもいいんですけどね。でも、やっぱり面白くないじゃないですか」と返ってくることがあります。
大企業だと、既存事業の部門に行けば比較的安定していて、そこそこ忙しいかもしれないが“同じルーチン”が繰り返される。
でも新規事業は、毎日が違う課題との格闘です。
「地獄だけど、最高に刺激的」というわけですね。

快感が、地獄を上回る

新規事業をゼロから立ち上げると、実際にプロダクトやサービスが世に出て、ユーザーが使ってくれた瞬間の感動は半端ないです。
「自分たちが作った何かが人の役に立ってる」という実感は、とても大きなモチベーション源。
その過程で、何度もエラーや失敗を経験し、悩み、徹夜もしながらチームで乗り越える。
ここにあるドラマは、ルーチンワークでは味わえない特別なもの。
だから「地獄だけどやめられない」のです。

そして、また次の地獄へ…

さらに恐ろしいのは、一つの新規事業が落ち着くと“平穏”になってしまうという現象。
そのとき、一部の人は「もう地獄を味わえないのが寂しい」とまで言い始めます。
そうなると、また別の新規事業やプロジェクトが持ち上がったときに自ら手を挙げてしまう。
地獄好きのドM体質とでも言いましょうか。
でも、こういう人がいなければ大企業の新規事業が前に進まないのも事実です。

超長期視点の新規事業:いつの間にか既存事業化する瞬間

2〜3年後に“普通の事業”になっているかもしれない

新規事業を始めた当初は「ここからどうなるんだろう…」と手探りですが、軌道に乗って収益や顧客数が安定し始めると、社内の“既存事業”扱いに変わる瞬間があります。
そこまで行けば、新規事業責任者としてはひとまず成功と言えるでしょう。
けれど、そのときに「やったぜ、これでもう安泰!」と喜ぶ人もいれば、「なんか普通の事業になっちゃったから、別の何かをやりたい…」と新たな地獄を探し始める人もいます。
どこまでいっても安住しないのが真の新規事業マインドです。

そこに至るまでの“紆余曲折”が濃すぎる

新規事業が既存事業化するまでには、何度もの仕様変更、何度もの再稟議、何度もの人事異動なが重なり、ほんとうに濃密な時間が流れます。
半年が2〜3年分くらいに感じることもしばしばあります。
だからこそ、苦労を共にしたチームメンバーとは強い絆が生まれます。
大企業にいながら、この“ベンチャー感”を味わえるのは新規事業の醍醐味です。

でも、成功しても急に飽きる人もいる

いざ成功して既存事業として定着すると、「もう刺激がないし、僕の役目は終わった」と言って、責任者が別プロジェクトに移動を願い出るパターンがあります。
ある意味、「地獄にいるときが一番楽しい」という発想ですね。
これは企業として見ると困る半面、新規事業マインドを持った人材がまた別の領域に挑戦するなら、それはそれで会社にとってもプラスかもしれません。
“地獄マラソン”を繰り返せる人材は、実はとても貴重なのです。

最高と地獄は表裏一体—結局は“ドM”な人が突き進む世界

ここまで読んでいただいて、「新規事業って地獄要素が多すぎない?」と感じられたかもしれません。
でも同時に、大企業の新規事業ならではの“最高要素”も散りばめられているのがお分かりいただけたのではないでしょうか。

  • 最高: 豊富なリソース、既存ブランド、安定した資金、成功すれば社会的インパクト
  • 地獄: 組織内コミュニケーションが多すぎる、数値目標とプレッシャーがえげつない、責任者次第で全部決まる恐怖、人事異動リスク etc…

そして何より「やってる本人が好きでこの地獄にハマる」というのが、新規事業の真髄でもあります。
誰かに言われてイヤイヤやっていたら、メンタルが持ちません。
自分で選んで、この苦痛と楽しさを味わっている人だけが、最後まで走り切れる世界なのです。

“最高の地獄”を共に戦いませんか?

大企業の新規事業は魅力にあふれています。
多少の苦しさがあっても、大きな価値を生み出したい。」
「社内で誰もできない成果を生み出したい。」
「意図せず抜擢されたけど、任されたからには成功させたい。」
そんな想いを持って新規事業責任者の方々は日々戦っていると思います。

  • 新規事業の目的が既存事業強化であれ、新ドメイン開拓であれ、地獄は避けられない。
  • 事業企画、事業計画、開発、推進、チーム管理、UXデザイン、外注活用…全部を一気にやらなきゃいけない。
  • 社内の稟議やステークホルダー調整に追われ、メンタルを削りながらも展示会で見込み客に猛アピール。
  • メンバーが突然抜けたり、経営者が方針を変えたり、周囲からの無言の圧力に耐え続ける。

それでも、「ようやくうまくいった!」「お客さんが喜んでくれた!」「大きな成果を出した」という瞬間があると、どれだけの地獄でも笑えてしまうほど嬉しいんですよね。
ものづくりや価値づくりに対する“ものすごい大きなやりがい”を、大企業ならではのスケールで体験できる。
それが新規事業責任者の醍醐味だと思います。

もちろん、新規事業が成功しなかったら会社に顔向けできないとか、使った予算に見合う成果が出ないとか、いろいろプレッシャーはあります。
でも、そんな不安やプレッシャーも、“本気でやりたいことを作り上げるんだ”という熱量でぶっ飛ばせる瞬間が、きっとどこかで訪れるはずです。

最後に改めて私が言いたいのは、「地獄だからこそ面白い」ということです。
大企業での新規事業は、安定と不安定が入り混じった特別な場所です。
まさに“最高の地獄”。
その地獄では、最高に熱くて、飽きることを許さないエキサイティングな毎日が待っています。

コーレがやれること

コーレは、そんな新規事業開発の戦場に伴走するパートナーです。
ゴースト新規事業開発という、まさに大企業の新規事業開発責任者の裏方として戦略や企画などの上流工程から、サービス作りの手足となる末端の下流工程までを一気通貫で柔軟にサポートします。
コーレのCxOクラスのメンバーが貴社の新規事業責任者とのコミュニケーション窓口となり、コンサルタント、デザイナー、エンジニア、マーケター、セールスマン、などの人員を動かし、必要に応じて事業にフィットするAIシステムを開発し、大量の作業や専門的な技能が必要な工程ではさらに外部業者のベンダーコントロールをします。
新規事業責任者の社内コミュニケーションのサポートとして、事業企画資料の作成や、事業計画の数字算出なども具体的なアウトプットを用いて手伝います。
コーレは少人数ですが、各メンバーがAIを使いこなし、一人当たりの稼働範囲と稼働量が多く、ハードワークに慣れているメンバーです。

ぜひ、無形サービスBtoB新規事業開発の際には、一度コーレにご相談ください。

ゴースト新規事業開発:ゴースト新規事業開発(新規事業PMO&BPO)
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コーレは、戦略コンサルタント、デザイナー、エンジニアが中心となり、AIとビジネスをつなぐAIコネクティブカンパニーです。戦略・企画から制作や開発、マーケティング支援や営業代行まで、一気通貫で上流から末端まで担うパートナーとして伴走します。お客様の要望に沿ったオーダーメイドなサポートをします。
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